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2019年
08月26日

かつて川崎市の工業発展を支えた水源。平間配水所近く、二ヶ領用水取水口跡地の「選奨土木遺産」案内サイン

【Reporter:はつしも】

二ヶ領用水は、元をさかのぼると江戸時代に整備された、多摩川流域で最も古いとされる農業用水路です。
その歴史的価値から、2012年9月26日には川崎市で初めて公益社団法人土木学会の「選奨土木遺産」に認定されました。

2015年3月には二ヶ領用水に「選奨土木遺産」認定の案内サイン・銘板が設置されまして、本サイトではそのうち中原区宮内4丁目のこすぎごてんみどり歩道橋付近と、小杉町3丁目の総合自治会館付近の2か所に設置されたものをご紹介してきたところです。

今回は中原区と幸区の境界近く(平間配水所そば)の案内サインを訪れてみました。

ここにはかつて、二ヶ領用水の余剰水を工業用水として取り込んだ取水口の跡地が残されています。

■平間配水所近くの二ヶ領用水
 平間配水所近くの二ヶ領用水

■選奨土木遺産の案内サイン
案内サイン

ここは、川崎市上下水道局の施設「平間配水所」と二ヶ領用水が接近する場所で、アドレスでいえば幸区鹿島田2丁目にあたります。

すぐそばを南武線が通っていまして、写真奥には新川崎の高層ビルの姿が見えました。

■「選奨土木遺産」の案内サイン
案内サイン

選奨土木遺産の案内サイン

取水口跡地の説明

川崎市では、昭和初期に臨海部の埋め立てが進み、多くの工場が立地しました。
そのための工業用水の供給が必要となりまして、二ヶ領用水の余剰水が使われるようになりました。

二ヶ領用水は前述の通りもともとは農業用水ですから、大きな用途転換が行われたことになります。

川崎市で1939年に完成したのが日本初の公営工業用水道で、平間配水所そばのこの場所に設けられた取水口から、二ヶ領用水の余剰水が取り込まれました。

この工業用水は市内の16か所の工場に供給されていたということです。

オイルショックを契機とした産業構造の変化により、その後工業用水需要は減退しましたが、取水口跡地が現在に当時の歴史を伝えています。

このような歴史的背景もあり、二ヶ領用水の取水口跡地には「選奨土木遺産」の案内と共に取水口の歴史を伝えるガイドも設置されています。

■当時の取水口の写真
当時の取水口の写真

当時の取水口の写真 

ガイドには、当時の取水口の写真も掲載されていました。

決して大掛かりな施設ではありませんが、ここから臨海部の工場群のための工業用水を供給するためには、それなりの水量があったのでしょう。

■取水口の跡地らしきもの
取水口の跡地

明確な表示などがあったわけではないのですが、案内板のすぐ下の二ヶ領用水にあったのが、こちらの取水口跡地らしきものです。

現在も水の流れはあるようでした。

■平間配水所の調圧塔
平間配水所の調圧塔

このすぐ近くにある「平間配水所」では、現在も臨海部への工業用水の水量・水圧調整を行うほか、多摩区の長沢浄水場・生田浄水場のバックアップとしての機能も有しています。

かつての「調圧塔」が現在も残されていまして、こちらも歴史を感じさせます。

川崎市の「水」の歴史を探訪して、サイクリングなどで訪れてみても良いかもしれません。

■取水口跡地のマップ


【関連リンク】
(選奨土木遺産関連)
武蔵小杉ライフ:生活情報:公園 二ヶ領用水
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(平間配水所関連)
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