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2021年
04月13日

JR向河原駅近くに残る、貨物線の歴史。「市ノ坪短絡線」廃線跡で橋台の遺構を新たに確認

【Reporter:はつしも】

南武線向河原駅付近からかつて分岐していた貨物線「市ノ坪短絡線」の跡地について、2016年にご紹介しました。

「市ノ坪短絡線」の跡地は現在緑道になっており、いくつかの遺構を見ることができますが、当時南武線近くは近づくことができませんでした。

それが2019年、この短絡線跡地が歩行者・自転車専用通路として整備されたことによって、当時見られなかった遺構を確認できるようになっていましたので、今回ご紹介したいと思います。

■市ノ坪短絡線のマップ
市ノ坪短絡線のマップ

南武線はかつては私鉄の「南武鉄道」であり、多摩川の砂利を運ぶなど貨物列車として活用されていました。

当時、国鉄・私鉄間の貨物列車直通はできなかったため、向河原駅に貨物受け渡しの設備が作られ、JRの貨物路線と接続するために、上記マップのような短絡線が1929年9月11日に作られました。

1944年に南武鉄道が国有化されてからもこの短絡線は使用されていましたが、貨物専用の武蔵野南線(地下の貨物線)が整備されたことによりその役目を終え、1973年10月1日に廃止となりました。

現在はその跡地の大部分が緑道として残され、さらに南武線近くの部分が前述の歩行者・自転車専用通路として2019年に整備されました。

■廃線跡地の緑道
廃線跡地の緑道

■枕木で作られた緑道の柵
枕木を使った柵

■廃線跡と思われる遺構
線路跡と思われる遺構

■地面に埋め込まれたレール
地面に埋め込まれたレール

■鉄道境界標
鉄道境界標

■「老人いこいの家」前の両面橋台
市ノ坪短絡線の両面橋台

これらの遺構は、2016年のエントリでご紹介しておりました。

その中でもっとも向河原駅に近かったのが、「中丸子老人いこいの家」前の市ノ坪短絡線の「両面橋台」です。
この上に、かつて貨物線の線路が敷設されていました。

■整備された通路と新たに確認できた橋台
整備された通路と、新たに確認できた橋台

橋台

橋台

そしてこちらが、新たに確認できるようになった橋台です。

市ノ坪短絡線のうち向河原駅近くの区間が、新たに向河原駅前踏切の迂回路として整備されたことによって、目の前を歩けるようになりました。

2019年に整備されたときには全く気が付かなかったのですが、最近になってここにも市ノ坪短絡線の橋台の一部が残されていることに気が付きました。

短絡線跡地がずっと遊休地のままだったことで、これまで撤去されることもなく残されてきたのでしょう。

通行する機会がありましたら、道端の遺構にも目を向けてみてください。

■短絡線跡地そばを通る南武線
南武線

【関連リンク】
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