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2024年
05月10日

中丸子の南武沿線道路沿いと御幸踏切に残る「馬頭観音」、かつての荷馬車の歴史を偲ぶ

中丸子の南武沿線道路沿いに「馬頭観音」があるのがふと目に留まりましたので、本記事に記録しておきたいと思います。

■南武沿線道路沿いの「馬頭観音」があったスペース
南武沿線道路沿いの馬頭観音

南武沿線道路沿いの馬頭観音

「馬頭観音」を見かけたのは、南武沿線道路沿いのセブンイレブン川崎中丸子店の近くです。
ここは不思議な広いスペースが歩道沿いに広がり、その奥に石塔のようなものが見えました。

■馬頭観音
馬頭観音

馬頭観音

馬頭観音とは、観音菩薩の変化身のひとつで、その名前から馬の守護仏としても祀られてきました。
また、畜生道にご利益を与え、畜生類を救済する観音ともされています。

街道の移動手段・運搬手段がまだ人力や馬だったころ、馬も生き物ですから予期せず亡くなることがあります。
馬が急死した路傍などに、供養として祀られるようになったのが馬頭観音なのだそうです。

怪我の予後不良で薬殺された競走馬の供養でも建てられたことから、川崎競馬場にも馬頭観音があります。

■原型は確認できず
原型は確認できず

さて、この中丸子の馬頭観音は、ご覧の通り風化して原型がわからなくなっています。

観音というと慈悲の表情のイメージが強いですが、馬頭観音は一般に憤怒相であるのが特徴です。
また経典によっては馬頭人身の場合もあるようですが、この馬頭観音はまったく確認できませんね。

■「馬頭観音」の文字
馬頭観音

なぜこれが馬頭観音かというと、この木片に書かれた文字によるものです。
見たところマジックで書かれたもので、それほど大昔ではないように見受けられます。

つまり、この文字が間違っている可能性も正直ないとはいえないのですが、おそらく地域の方が風化した石造を見て、後世に記憶を残していくためにここに置いたのではないでしょうか。

この木片も強固に固定されているわけではありませんので、いつかなくなってしまうかもしれませんし、地域の方も代替わりしていかれるでしょう。

そうしますと、弊紙のようなローカルメディアがデジタルで記録を残しておくことも、遠い未来に向けて意味のあることではないかと考えました。

■NEC玉川事業場近く「御幸踏切」の馬頭観音
御幸踏切の馬頭観音

御幸踏切の馬頭観音

御幸踏切の馬頭観音

なお、中丸子の馬頭観音から比較的近く、NEC玉川事業場そばの「御幸踏切」にも馬頭観音があり、今から約13年前の2011/8/3エントリでご紹介しておりました。

こちらの小堂の中には像と石碑があり、石碑には「十八面馬頭観世音」と書かれています。

それだけこのあたりの街道で、馬が荷物を運ぶ姿が日常的だったのでしょうね。

■中丸子の馬頭観音
馬頭観音マップ

【関連リンク】
2011/8/3エントリ 御幸踏切の馬頭観音

(川崎歴史ガイド・中原街道ルート連載)
2009/9/23エントリ (1):「丸子の渡し」
2009/10/6エントリ (2):「旧原家母屋跡地」
2009/11/9エントリ (3):「旧名主家と長屋門」
2009/11/29エントリ (4):「明治の醤油作りと八百八橋」
2009/12/21エントリ (番外編):「武蔵小杉駅の八百八橋」
2010/2/9エントリ (番外編):「丸子の渡しガイドパネル入札不調」
2010/2/14エントリ (5):「小杉御殿と『カギ』の道」
2010/3/30エントリ (6):「小杉御殿の御主殿跡」
2010/5/23エントリ (番外編)「中原区役所の八百八橋」
2010/6/28エントリ (7):「小杉陣屋と次大夫」
2010/7/19エントリ (8):「御蔵稲荷と多摩川」
2010/8/19エントリ (9):「西明寺と小杉学舎」
2010/11/12エントリ (10):「小杉駅と供養塔」
2011/2/11エントリ (11):「庚申塔と大師道」
2011/3/27エントリ (12):「小杉十字路」
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2011/5/3エントリ (番外編):「中原区役所の八百八橋」看板設置と石橋ベンチ
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